アレン・フランシスブログから 子どもの精神薬の間違った使用
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最終更新日:2017/01/28
コラム
2015年5月10日
アレン・フランシスさんは、DSMの第四版の編集責任者です。そういう立場で、現在は、「精神障害の過剰診断」について指摘、啓蒙活動をしています。
私は、家庭や仕事で多くの子どもと関わる中で、この「過剰診断」(もちろん私がそう感じるだけかもしれません)を肌で感じてきました。
といっても、自分がそれを制御できるわけではありません。専門家でもない私にできることは、普段から勉強をしておくくらいでしょう。
今回も、アレン・フランシスさんのブログ「Saving normal」を読み、引用、コメントをしたいと思います。自分自身の勉強のやり方としても、これがしっくりときます。
Drug companies started to focus their marketing campaigns on kids when the adult market was saturated. Children make perfect customers- get them used to psycho-active pills when they are young and they may continue to use them for life.
日本における精神薬の売り上げは、1990年代後半から右肩上がりを続け、2013年から減少を始めています。
このブログの記事が書かれたのが2015年。つまり、製薬会社が、売り上げが下がったことで、子どもをターゲットにし始めたということでしょう。
ブログに書いてあるとおり、子どものときから薬を飲み始め、一生それを続ければ、「完全な消費者」ということになるわけです。
Overwhelmed teachers often recommend that parents take their kids to doctors for medicine when the problem may be more in the classroom than in the kid.
「威圧的な教師が、親に、子どもを病院に連れて行って薬を処方してもらうようすすめる。問題が子どもではなく彼が所属するクラスにあるにも関わらず」
使命感が強い教師、ということも言えるかもしれません。「使命感」というのは、「私がなんとかしなければいけない」と感じ、気合が入っている状態です。
私が働いている福祉の世界でも、「自分が問題を解決しなければ」と気合が入っている職員ほど、子どもを病院に行かせたがります。つまり「何もしない」と評価されることをおそれるのです。「放っておけばいい」というタイプの教師や職員、職場の評価は低いかもしれませんが、彼らはそういうことはありません。
何とかしよう、と思えば、教師や職員は素人ですから、医者に連れて行くという道筋をたどるしかないのです。
以下は、お医者さんが子どもに薬を処方する前にチェックするためのリストです。逆に、親として知っておきたいところです。
Are the child’s problems pervasive, occurring in a wide range of social settings and observed by many different individuals?
つまり、子どもの問題が、多くの状況やたくさんの人から確認されているかどうか、ということです。
教師がその子どもを「精神障害」と思ったから、それだけでその子は「精神障害」にされてはいないでしょうか?
Do the child’s parents and involved professionals see the problems as significant enough to require medication?
親や、その子どもに関わる職業的な人(私はここに含まれます)が、その問題を、薬が必要なほどのものだと思っているのか?
私が関わる子どもに関していうと、病院や薬をすすめる職員がいて、医者は薬をすすめますから、それですぐに服用開始、ということになりました。私は、本人と話をすることはできましたが、いつ誰に対して「必要ない」という意見を言うのか、そんな機会もありませんでした。
Are there stresses in the child’s relationships, social context, and recent history which might explain this pattern of behaviours?
子どもの行動を説明できるようなストレスはないかどうか?
つまり、それが人間関係やある出来事によるストレスならば、薬の服用の前にストレスを軽減することを考えましょう、ということでしょう。
If your child had the same presenting problems, would you be prescribing medicine?”
もし、あなたの子どもが同じような問題をみせていたら、あなたは薬をすすめますか?
極めつけの質問、そんな感じです。
最後に、「薬は飲まない方がいい」という本が売れている薬剤師もいれば、それを「間違いだらけ」と批判する薬剤師もいます。