神永学の虚像のウロボロスの山猫の教育論が面白い

公開日: : コラム

ドラマ「怪盗山猫」


2016年1月16日の夜9時にスタートします。主役は亀梨和也さんが演じる「怪盗山猫」。

ルパン三世に近いかなあ。


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自由と自己責任


ドラマのシナリオがどのようなものかはわかりませんが、神永学さんの原作「怪盗山猫シリーズ」の「虚像のウロボロス」を読みました。

“哲学的な”部分が個人的にいくつか興味深かったのでそのひとつを紹介します。それは教育に関するものです。

理解するためにどの程度内容を紹介しようか迷うところですが、この「山猫シリーズ」は、「怪盗山猫」とジャーナリストの勝村英男が主要人物です。

「虚像のウロボロス」に登場する中学生のハッカー。彼は「魔王」というハンドルネームを使ってハッキング行為を繰り返していますが、それによって勝村英男が殺人犯の濡れ衣を着せられることとなります。

最終的には主にこの三人で事件を解決するのですが、そこにいたるまでの山猫と勝村の魔王への“教育”がなかなか面白かったのです。

勝村は「相手は子どもだぞ」と優しく魔王に語りかけるいっぽうで、山猫は「十四歳は子どもじゃねえ」と言い放ちます。

そして

どんな言い訳をしようが、自分のやったことに、責任を持たなきゃならねえってことだ

という山猫の言葉に、魔王が「責任・・・」と反応を示します。

山猫が言いたいことをまとめると、やってしまったことを悔やんでも仕方がないが、やったことの責任は一生ついてまわるのだから自分の意思で立ち向かうしかない

ということです。

ハッキングという行為が「合法」か「違法」かという話はしていません。そもそも山猫も「違法」な存在ですから。

ただ、自分が好きでやった行為で起きたことから目を逸らしてはいけない。それを「責任」という言葉で表しているのです。

私は十代後半の子どもたちと多く関わっています。施設育ちの子どもによく見られるのですが、規則に従うか従わないか、という基準ができています。

そうなると結果に対する責任というものが生じません。なぜかというと、自分の判断でやったわけではないからです。「施設(大人)がそうしろと言っただろ」と、結果についての責任はすべて施設です。

これは施設の問題でもありますが、できるだけ本人の判断で行動し、結果については「自分がそう判断したんでしょ」と、あくまで本人の責任であって周囲の責任にしない、そういう関わりかたをしていきたいものです。

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