やっぱりさとりは身の回りにある③運ばれる人生


それがどんなに奇妙なものであれ、いびつなものであれ、それが私という乗り物のあり方なのだ





これは村上春樹さんの小説「1Q84」の一節です。「私」というのは遺伝子の乗り物に過ぎず、遺伝子はその目的に従って進むだけ。「私」はそれを受け入れるしかないというわけです。まだ読んでいる最中なのでわかりませんが、30歳手前の主人公が、成長するに従って「仕方なく受け入れる」から「有り難く受け入れる」と変化していくのかもしれません。





物語の中では、この「乗り物」という言葉に「キャリア」という読み仮名が付けられています。英語で「キャリア」というと「経歴」という意味です。「キャリアカー」は車両を運搬するための車のことですが、そのようにキャリアには-和製英語かもしれませんが-「運ぶ」という意味もあります。





私はこのブログを通してずいぶん自分の人生を、自分の過去を振り返ることになりましたが、「(そのような人生を)送ってきた」というよりは「運ばれてきた」という実感があります。京都駅の地下街で、この先どうしようかと頭を悩まし、北海道や富士の樹海を経て、観念して警察そして親元に戻るまで「私」という乗り物が-ハンドルを握っているのは遺伝子なのか魂なのか-ただ進んでいるような感覚です。




小林正観さんと出会い、合宿に参加し、誘われてSKPに入社してという流れも同じです。ちょうど今、「運がよかったね」という言葉が浮かんできましたが、そういえばこの「運」も運ばれるという文字ではないですか。

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