小林正観さんからこう聞いた第四章④赤城正観荘

公開日: : 最終更新日:2022/08/23 小林正観さんからこう聞いた


赤城正観荘は正観さんの合宿所としては最後に誕生した場所です。正観さんの晩年の一年は、私もスタッフとして伊豆正観荘、光楽園、赤城正観荘の合宿に参加しており、月の三分の一は合宿に行っているというときもありました。赤城正観荘は現在でも、見方道師範代の高島亮さんや柳家花緑さんを招いて合宿を実施しています。




私は、正観さんが赤城正観荘の建物を購入した日、つまり契約をした日に同行しました。関越道を通り、駒寄スマートインターチェンジで下道におります。ここはパーキングエリアとしては古くからありましたが、2006年よりインターチェンジとして、つまり関越道に乗り降りすることのできるパーキングエリアとして運用が開始されました。ここがなければ手前の前橋ICで降りることになり、赤城正観荘まではずいぶん遠くなります。そういう意味ではラッキーでした。当日は快晴。関越道を走っているとき、目の前にヤコブの梯子(雲間から光が帯状に差し込む自然現象)が見えました。「『(赤城正観荘を)買ってよかったね』というメッセージですね」と正観さんがおっしゃいました。




ここでは、赤城正観荘での出来事で私が忘れることのできないエピソードを紹介します。ひとつ目は、赤城正観荘に向かう関越道でのこと。正観さんのベンツで移動をしていましたが、突然、ギアがあがらなくなりました。オートマチック車ですからアクセルを踏んでいれば自然とギアが上がるはずですが、それが上がらないのです。するとどうなるか。無理にスピードを出すとオーバーヒート、つまりエンジンが止まってしまいます。ですから、高速道路にも関わらず時速40キロくらいで走り続けなければなりません。幸い、すぐに次のインターチェンジで下道に降りることができました。ただ、そこからどうしようか考えないといけません。私は思いつくままに正観さんにこのように提案しました。「熊谷駅(そこは埼玉県の熊谷市でした)まで赤城正観荘のメンバーに迎えに来てもらうことにします。正観さんにはそれで赤城まで行ってもらい、私はどこかで車を修理してもらい横浜まで帰ります」と。正観さんは「それでいいです」と言いました。10分くらいして、正観さんから「くりようかんさんは優先順位がわかっている」とほめられました。つまり、正観さんを赤城正観荘まで送り届ける→車を修理する、という順番で、逆ではないという話です。「私のことを一番に考えてくれて大変、心地がいい」と言っていただきました。その瞬間、それまで入らなかったギアが急に入りました。結局、何事もなくそのまま赤城正観荘に向かうことができ、その後、その車の不調は聞いていません。「私にほめられて、くりようかんさんが喜んだ瞬間に直ったんですね」と正観さんは笑顔でおっしゃいました。




 二つ目のエピソードは、東日本大震災直後の合宿でのことです。当時、正観さんは人工透析をしながら講演会や合宿を続けており、車での移動は必至でしたが、ガソリン不足で、赤城正観荘のある群馬県のガソリンスタンドもいつ開店できるかわからない状況でした。そんなとき、正観さんは新潟の友人に電話をしました。そして、ガソリンスタンドが通常通り営業していることを確認すると、私に「行ってきてください」と指示。私は、魚沼までの100キロをガソリンを入れるために走りました。「わざわざ新潟まで」と驚かれそうですが、正観さんのこのような自由な発想は普通のことで、そして、実際に行動をした私も、行先のペンションを経営している正観さんの友人のところで楽しく過ごすことができました。このような正観さんの発想力や行動力を身近で見せてもらったことは私にとっての財産です。今現在の仕事でも、大変な状況に苦しんでいる自分がいたら「捉え方がおかしいのでは?違うのではないか?」と自問をすることができます。“苦しい”という現象は存在していないのです。すると、不思議と前向きな発想ができ、結局「楽しかった」と思える結果になるのです。







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