子どもに対して怒るor怒らない 仏教で説かれる「怒り」とは?
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最終更新日:2017/01/28
コラム
怒らないこと2
という本があります。著者は、スリランカ初期仏教長老のアルボムッレ・スマナサ―ラさんです。
怒らないこと 2 |
第2部の第2章「怒りの種類」では、怒りを10種類にわけて説明しています。仏教では「色即是空(しきそくぜくう)」と説きますから、怒ることがいい、怒ることがわるい、ということは明らかにしません。
子どもに関わる人がぶつかりがちな、「子どもを怒ることはいいのか、わるいのか」という問への直接的な答えにはなっていませんが、自分がどうするかを選択するためのヒントはここにあるように思います。
10種類といいましたが、1種類の基本的な怒り「ドーサ」と、その発展形としての9種類の怒りがあるという構造になっています。
「ドーサ」というのは、日本語では「暗い」という意味に近いそうなので、ここからは「基本的な怒り」=「暗さ」という言葉の用い方をします。
「最大の罪は不機嫌である」というゲーテの言葉を思い出します。
この「暗さ」が発展すると、これから順々に説明をする9種類の怒りへとつながるわけです。ですから、この「暗さ」がない人にとっては、そもそも他の9種類の怒りも関係がないわけです。
といっても、仕事から帰って部屋が散らかっており子どもはまったく片付ける気配がない、思わずため息が出る、この時点ですでに「暗さ」があるわけですから、「暗さ」をなくすというのはその時点でまさに「仏のような人」なわけです。
先ほどもいいましたが、あくまで「空」ですから、暗くなってはいけません、ということを説いているわけではないのです。「怒りとは何か」ということを学んでおけば、「今自分暗くなっているなあ」と認識はしますよね。
暗くなる、ということは仕方がないよなあ、というのが今の私の感想です。しかし、残りの9種類の怒りについてはぜひ克服したいものです。次回は「ヴェーラ(激怒)」です。