小林正観さんからこう聞いた第一章①ついてる
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小林正観さんからこう聞いた
私が初めて正観さんの本を手にしたのは11月の第3木曜日です。なぜ覚えているのか。それは、その日がボージョレーヌーボーの解禁日だからです。当時、私はフランス語の勉強サークルに参加しており、そのつながりで、ある酒屋さんが開催していたボージョレ-ヌーボーの解禁パーティーに参加したのです。そこで出会った同世代の男性が何だか不思議な話をしていました。もっとも印象に残ったのは「ついてる」の話。あなたが道を歩いていて急に体が重たくなったとします。そのとき、あなたは思わず「疲れた」とつぶやきます。しかし、そんなときは「ついてる」と口にしたほうがいい。この二つの言葉をある漢字にすると「憑かれた」と「憑いてる」。意味は同じです。しかし、あなたに憑いた存在は、あなたが「疲れた」と言えば、あなたを疲れさせるように働くし、あなたが「ついてる」と言えば、ラッキーな方向で働くというのです。「だからなんだ」と言われればそれまでですが、私はパーティの帰りに彼の自宅に寄り、そんな不思議な話をいろいろと聞きました。そしてそのときに彼から借りたのが正観さんの本でした。
現在、正観さんの本は多くの出版社から出されています。しかし、当時は弘園社と宝来社という二つの出版社だけでした。というより、正観さんの本を出版するために立ち上げられたのがこの二つの出版社なのです。そして、一般書店での販売はされず「うたしショップ」のみで販売されていました。正観さんは、大手の出版社からも本の執筆を頼まれていましたが最初は断っていました。それは、正観さんが自分の考えを広めることを目的にしていたわけではないこと、友人知人を大切にし、その中でしか仕事をしないと決めていたからでした。結果的には、その後、いろいろな出版社からの依頼も受けることになりますが、それも“流れ”があってのこと。正観さんが「やろう」と決意して始めたことではありませんでした。
私は毎月、地元のうたしショップに行っては正観さんの本を買い、読みました。最初は、その内容に興味があったというよりは、読むと元気になったからでした。ですから、一気に読んでしまうのはもったいない。月に2冊買い、2週間に一冊というペースで読みました。読んで元気になり、落ち込んできたときにまた読む、そういう生活を繰り返していました。仏教に「応病与薬」という言葉があります。釈迦が相手に応じて教えを説いたことを病気と薬にたとえた言葉です。そういう意味では、正観さんの本は当時の私に応じた薬だったのです。
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