だらしなくない矛盾でもない 思春期の自己愛
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最終更新日:2017/01/28
コラム
どっちつかずの子どもの態度
「そうそう、嫌んなっちゃう」と思われた方は、「自己愛」について知っておくといいかもしれません。先日、不登校や引きこもりを専門とされる精神科医の斎藤万比古(かずひこ)さんの話をききに行きました。
私にとって参考になったのが「自己愛」の話でした。
私は日ごろから「自分がどう生きるか」だけを考えるようにしています。仕事でも子どもに関わり、自分自身も子育ての真っ最中。子どものことばかり考える、子どものあれをどうしようこれをどうしよう、それが普通かもしれません。私の子育ては「子育てをしない子育て」。詳しくはまたいずれ書きたいと思います。
自己愛とは?
・子ども(特に男の子)が甘えてきたと思ったら、次の瞬間には「うっとおしい」みたいな態度を取られた
・「自分は社会に出てこんなにできる」みたいな口ぶりなのに実際は泣かず飛ばず
このような子どものいっけん矛盾する態度は「両価性」とよばれます。「男性の場合は一生これが続く」と斎藤さんはおっしゃっていました。私は思わずクスッと笑ってしまいましたが、身に覚えがある方も多いと思います。
これらは理論的に説明がなされていること。別に驚くことでもなんでもありません。
さて、思春期にある子どもたちの心を支えているのは次の3つです。
1、外部コミュニティ(学校や友人関係)とのつながり
2、親(愛着の対象)とのつながり
3、自己愛
経験が少ないという理由で、この時期の子どもたちは失敗を過大評価してしまったり、抑圧を過度に受け取ったりしてしまいます。
それが故に、この3つの間でグラグラに揺れ動いてしまうのです。外部とのつながりが不安定になると親への愛着や自己愛の比重が大きくなります。また、親からの支配を感じてしまうと外部や自己愛へと傾くというわけです。
別に矛盾しているわけではないのですね。
こういうことを知っておくと、子どもの態度の変化に動揺することなく余裕を持って接することができるのではないでしょうか。
大人の側の自己愛
さて、私にとって参考になった自己愛の話とは
大人、つまり子どもに関わる人たちの自己愛
です。自分の中にある自己愛に気が付くというのは簡単ではないかもしれませんが、ようは「自分はちゃんとやっている」「自分は大したものだ」という思いのことです。これは自分の心の奥底にある「自分はちゃんとしていない」「自分は大したことない」という自己否定の裏返しなのです。
ですから、自分が保護者の立場で接している子どもから批判を受けたりすると自己愛を守るために怒りを感じて子どもを攻撃したりするのです。
結局、ここで最初の話につながるのですが、
自分がどう生きるかだけ
なのです。自分自身の自己愛に気が付くこと。その作業をやっていけば、子育てや養育における悩みというのは解消されていくように思います。さらに子どもにとってもそのほうが楽でしょう。
「子どもの『できる・できない』で一喜一憂するのは大人の自己愛」
斎藤さんはそのようにおっしゃっていました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。