社長から教わった社会人の品格②
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最終更新日:2020/08/12
社長から教わった社会人の品格
友人・知人としか仕事をしない
吉本興業の芸人さんたちが、詐欺集団と仕事をしてしまったことで解雇や謹慎という処分を受けています。その中で、雨上がり決死隊の宮迫さんがテレビから消えてしまうのは、私にとって島田紳助さん以来の衝撃があります。「アメトーーク」は私の大好きな番組で、かつてブログのネタにしていたこともあります。吉本興業では、先輩が後輩にご飯をおごることはしきたりのように行なわれているそうですが、宮迫さんにもこんなエピソードがあります。
・飲みに行くと支払いのときに後輩に財布ごと渡して支払わせる
・後輩にキャッシュカードを渡してATMでお金をおろしてきてもらう
だからといって、財布からお金をぬいたりする後輩はひとりもいないそうです。こういうお金の使い方をする宮迫さんが成功したのもわかる気がします。今回の事件で芸人仲間が「あいつは頼まれると断れない」ということを言っていました。それを聞いて、私は、“社長”と同じ仕事の仕方だ、と思いました。ただ、それがもとで宮迫さんは詐欺グループに関わる結果となってしまいました。“社長”は「友人知人からの頼まれごとは断らない」という実践をしていました。そこが違うかもしれません。たとえば友人から「紹介したい人物がいる」と頼まれると会うには会う。ただ、その人と仕事をするのは友人、知人になってから。実際に、詐欺師を見抜いたこともあるそうです。
喜ばれるお金の支払い方
どんな仕事に就いていてもお金の支払いは生じます。たとえば、出入りの業者さんがいて建物の修理をしてもらった、それで請求書をもらい銀行に振り込みに行く。
そんなときは、私はできるだけ早く振込に行きます。振込む側からすれば今日振り込むのと一週間後に振込むことに違いはないのかもしれません。しかし、振り込まれる側の事情はわかりません。切羽詰まった状況かもしれません。
“社長”の会社に勤めていたとき、給料の締め日と支払日が同じでした。具体的に言うと、4月1日から働き始めたとして、締め日が15日だとすると、4月15日には初給料がもらえるのです。働いた経験のある方は、働き始めてから初給料日までがとても長いことはわかりますよね。こんな会社他に知りません。
できるだけ早く振込むことは相手に喜ばれている(かもしれない)のです。少なくとも迷惑ではありません。もっと根本的な理由としては、お金は流れてこそお金、だということです。「通貨」というようにお金はあなたのところを「通過」していく「貨幣」なのです。ですから、できるだけ長く留まらせておかないこと。
他の先生の話を聞くならやめてから
“社長”は、生涯で数十冊の本を書き、数千回の講演会を行うような方でした。そこにはひとつの人生論というべきものがあり私もそれを学んできたわけです。こんな記事を書くことができるのもそのおかげです。
“社長”は社員である私に「他の先生の話を聞くなら私の会社をやめてからにしてください」という話をしたことがあります。それは決して嫉妬深い、とかそういうことではありません。なぜなら自分の読者や講演会を聞きにきている方と懇親会などで話をするときには、「世の中には私のような話をしている方はたくさんいらっしゃいます。いろいろな方の話を聞いて自分に合ったものを探せばいい」と言っているのを私はかたわらで聞いていました。ただ、私をはじめ社員には上のように言います。それは“社長”は自分の考えに賛同している人を雇っているからです。私は公私ともに大変お世話になりましたが、社長としては自分の考えに賛同して集まっている一人一人を大切にしてくれていたのでしょう。
社長がこのように考え方を表明している会社ばかりではないと思います。ただ、自分が所属している会社、その他組織が大事にしている理念や思想に無頓着であると、うっかり、それとは別のものを喜んで学んで、しかも「自分は今このようなことを学んでいます」と周囲にも気が付かず言っているということはよくあります。本人はむしろ「自分は会社のために勉強、研鑽している」と思っていることすらあると思うのですが、周囲からは「自分が所属している組織を大切にしていない」と思われているかもしれません。
謙遜のワナ
ある施設を運営して半年、なかなか利用者が集まらなくて困っているところがありました。地域の状況としてはむしろ施設が必要でそこができたくらいなので、なぜ利用者がいないのか不思議に思われていました。私はいろいろ話を聞く中で「これか」と思い当たるところがありました。そこの運営のトップは、おそらく謙遜しているつもりなのでしょうが、「うちはまだまだあれもできていなくてこれもできていなくて・・・」ということを照れくさそうに一生懸命に語っているのです。いわゆる同業者ならばそんな謙虚なAさんを助けようと一生懸命に協力しますし、実際にそのようにみんな動いています。しかし、そこの施設の利用に関わっている行政や他の施設の方々にしてみれば「頼りないなあ」というようにうつるのではないでしょうか。
そこの施設がいいかわるいかは結局のところ利用者が決めること。それを自分たちで「うちは力がなくて」と判断してしまうことを「傲慢」という、と私は“社長”から教わりました。それでしたら「うちを利用すればこんないいところがあります、ぜひうちを利用してください」と堂々と宣言すればいいのです。だって、利用してもらうために施設を作ったのですから。そうやってハードルを上げれば「だったらお願いします」と人がやってきます。それを「はい、わかりました」と受け入れて一生懸命にやれば力は自ずとついてきます。謙遜というワナに気を付けましょう。
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