2019年センターで必要条件十分条件

公開日: : 楽問(がくもん)のすすめ


2019年センター試験「数Ⅰ・数A」第一問(2)より。この問題について書きたい理由というのが、「十分条件」「必要条件」です。私は学生を卒業して20年くらいになりますが、これを身に付けておくと会議などで意見を言うときに相手を思いやることにつながります。たとえば、「AだからBだ」ということが起きたときに、「Bが起きたからそれはA」だ、ということは必ずしも言えないのです。これが「十分条件であるが、必要条件ではない」という言葉が意味しているものです。




問題そのものは検索していただくこととして、まず命題として




p:mとnはともに奇数である




q:3mnは奇数である




r:m+5nは偶数である




「二つの自然数m、nが¬Pを満たすとする」・・・




「¬」は「否定」を表しています。ですから¬pは命題pの否定です。




¬p:mとnは少なくともどちらかいっぽうは偶数である




なぜこれがpの否定なのか理解ができない方はこのように考えましょう。pと¬pを合わせると全部になります。たとえば、「私」とその否定である「私でないもの」を合わせるとすべてです。当たり前ですが、pで表しているのが、「m:奇数、n:奇数」です。¬pが表しているのは「m:偶数、n:奇数」「m:奇数、n:偶数」「m:偶数、n:偶数」です。これですべてのパターンを満たしています。試験で問われているのは、




「mが奇数ならnは・・・」「mが偶数ならnは・・・」




ですから、¬pから、答えはそれぞれ「偶数」「どちらでもよい」となります。




ここからが「十分条件」「必要条件」の問題です。次の4つから選びます。




0 必要十分条件である




1 必要条件であるが、十分条件ではない




2 十分条件であるが、必要条件ではない




3 必要条件でも十分条件でもない










まずは「pはqであるための・・・」です。




この場合「p→q」つまり「mとnがともに奇数ならば、3mnは奇数である




言葉の意味を確認しておきますと、「→」が成立するとpはqの「十分条件」、「←」が成立するとpはqの「必要条件」となります。




ですから答えは0、「必要十分条件である」。




せっかくですから証明してみましょう。まず、mとnを次のように表します。




m=2x-1




n=2y-1




2をかければどんな数も偶数になりますから、そこから1を引けば奇数ができます。




ですから、3mn=3(2x-1)(2y-1)=3(4xy-2x-2y+1)=12xy-6x-6y+3




=2(6xy-3x-3y+2)-1




これも奇数になることがわかります。




次に逆を検証します。




「3mnが奇数ならば、mもnもともに奇数である」




これは言葉で証明します。どんな数にも偶数をかけてしまうと偶数になりますので、奇数であるためにはすべて奇数でなければならないわけです。




ということで、どちらの方向にも成り立ちますから「必要十分条件」です。










次に、「pはrであるための」・・・




p→r :mとnがともに奇数ならば、m+5nは偶数である




これを証明すると、「m=2x-1、n=2y-1とおくと、m+5n=(2x-1)+5(2y-1)




=2x+10y-6=2(x+5y-3)。故に偶数である」




r→p:m+5nが偶数ならば、mとnはともに奇数である




反証すると、「m+5n=12のときm=2、n=2」。




故に答えは2、「十分条件であるが、必要条件ではない」です。







証明は大変、反論は簡単・・・




ここでわかるのは、反論というのは違う例をひとつ(反例といいます)出せばそれでいいのですが、証明は大変だということです。さらに社会においては証明をするだけではなく相手にそれを理解してもらう必要もあります。










¬pはrであるための・・・




¬p→r:mかnのどちらかいっぽうが偶数ならば、m+5nは偶数である。




反例をすると、「m=1、n=2のときm+5n=11」




r→p:m+5nが偶数ならば、mかnのどちらかいっぽうは偶数である




反例「m+5n=6のとき、m=n=1」。




ですから、答えは「十分条件でも必要条件でもない」です。












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