生活保護の誤解をとく 認めてあげたい子供のアルバイト
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コラム
生活保護について書きました。
厚生労働省のホームページに書いてあることをまとめても仕方がないので、実際に業務に関わってきた方の声を参考にして断片的ですが記事にしました。
私は、
納税は権利
という言葉が好きです。一般的には納税は義務なのでこの言葉は正しくはないのですが、このように考えれば毎月給料から徴収される税金の印象がかわるかもしれません。
財産があったら受給できないのか?
出典 写真素材足成
たとえば、家や土地があったら生活保護の受給はできないのか、という疑問があります。
厚生労働省のホームページには、
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください
と書かれています。
ですから、自分が実際に住んでいる家ならばかまわないのです。支給をするサイドも、受給者が家を所有していればアパート代は支給しなくてもいいので、そのほうがお互いのため、ということなのです。
車についても、それが“生活に必要”とみなされれば処分する必要はありません。
働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください
という文言は、すでに受給している方にとっても同じことです。車を所有しているほうが仕事を探しやすいということならば、これも、そのほうがお互いのため、ということになるのです。
子どもが稼いだら減額されるのか
出典 写真素材足成
ここが、裁判でしばしば争われているところです。
[記事]生活保護家庭の女子高生アルバイト代返還騒動の結末とは 週刊女性PRIME 2015.4.8
これは2年半の争いのすえ受給者側の勝訴で幕を閉じました。理由は、
就学に必要な費用であることは明らか
実際に大学に進学していて学業のために有効に活用されている
ので
申告しなかったことでただちに不正とするのは酷
だからです。
争点は、「アルバイト収入について申告をしなかったこと」です。
それについて裁判長は
娘のバイト収入発覚後、市は使い道について両親に質問したことがない。処分決定にあたっても、使途が考慮されることがなかった。本件処分はその点で慎重さを欠いた
と述べています。
ようは、何に使うかが問題、ということです。
ただ、窓口でどのような対応をされるかはわかりません。誰もが訴えることができるわけではないでしょうし。
最低限の知識としてこの判例を頭に入れておくのはいいかもしれません。
貯金を認める
生活保護を受給しながら働くのは可能ですが、稼いだ分は減額されます。それが労働の意欲をそいでいるひとつの原因とされています。
ある生活保護に関わってきた方は、
貯金するならば認めるべき
と言っています。
“貯金のための貯金”はべつとして、生活保護から離れるための資金としての貯金のためならば、生活保護を減額することなく働くことを認める、という提案です。
厚労省アルバイトを認める
出典 はやさかゆき 写真素材足成
>[記事]奨学金から塾代、生活保護費減らさず 厚労省が見直しへ Yahoo!ニュース
これにより、塾に係る費用(交通費含む)に使う分については子どもがアルバイトをしても生活保護費を減額されないことになりました。
児童福祉の見解を述べておきますと、これでもまだ不十分です。なぜならば、親と子どもは別、というふうに考えるからです。
親が生活保護を受給しているのは子どもには何ら責任はありません。
ところが、自分が働くことによって親の生活保護費が減らされるのです。今回、塾の費用にあてるならばオーケーとなりましたが、自分のアルバイト代で友達と外食をすることもはばかられるのでしょうか。
ですから、児童福祉としては、親と子どもの世帯を分離させることを考えるのです。そうすれば、子どもはいくら稼いでも親の生活保護費が減らされることはありません。
実際に、同居はしていますが、親は生活保護費を受給し、子どもはアルバイトで月に10万円以上稼いでいる、そんな例もあります。
これから自立をめざす十代の子どもに、「収入があるなら親を養え」というのは酷でしょう。
まとめ
やはり“何に使うか”というのが重要、ということになります。
あくまでこの制度を支えているのは私たち一人ひとりですから、“良識”で判断してもそうでしょう。
生活保護を受給している世帯の子どもが、自分の将来のためにアルバイトをするのは認めてほしい(そのために親の保護費を減額しない)ところです。
それならば、“納税の権利”を施行してもいいと思いませんか?