楽問 谷崎潤一郎は何を描写している?
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楽問(がくもん)のすすめ
彼処がそんな風にぱっと明るくて、おまけに四方が真っ白な壁だらけでは、漱石先生のいわゆる生理的快感を、心ゆく限り享楽する気分になりにくい。なるほど、隅から隅まで純白に見え渡るのだから確かに清潔には違いないが、自分の体から出る物の落ち着き先について、そうまで念を押さずとものことである。いくら美人の玉の肌でも、お臍や足を人前へ出しては失礼であると同じように、ああムキ出しに明るくするのはあまりと云えば不躾千万、見える部分が清潔であるだけ見えない部分の連想を挑発させるようにもなる。やはりああ云う場所は、もやもやとした薄暗がりの光線で包んで、何処から清浄になり、何処から不浄になるとも、けじめを朦朧とぼかして置いた方がよい。
「陰翳礼讃」(谷崎潤一郎 青空文庫) より引用
Q 著者は何について描写しているのでしょうか?(正解はずっと下)
A 厠(トイレ)です
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