出席督促書とは?「子どもに教育を受けさせる義務」の「させる」とは?
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最終更新日:2017/01/28
コラム
不登校は文化の森の入口 [ 渡辺位 ] |
私の娘は、就学前検診に行っていらい「学校に行きたくない」と言っています。私たち夫婦は、「フリースクール」や「ホームエデュケーション」など教育にも選択肢があるという考えなので、子どもが学校に行きたくなければ行かなくてもいいという立場で子どもに接しています。私たち夫婦の親は「義務教育なんだから学校には行かなくてはいけない」という立場で、娘にも直接そう言っていたのですが、子どもが「『学校に行け』と言うからばあばの家には行かない」と泣きながら訴えるほどですので、最近はさすがに何も言えなくなったようです。
ところが、「親には子どもを学校に行かせる義務があるのだからいけないんじゃないの?」という認識をされている方がほとんどだと思いますので、今後、いろいろな方に説明をしなければならないだろうということが予測されます。ですからこのブログでも考えをまとめておきます。
まず、こちらの記事をご覧ください。「不登校新聞」です。
http://www.futoko.org/special/special-01/special-01-2/page0426-41.html
執筆者の多田元さんは弁護士で、私も仕事で不登校に関わりがありますのでお会いしたことがある方です。
1990年頃、不登校の子を持つ親に出席督促書を送ったことが違法だとして教育長が謝罪をしたんですね。出席督促書を送ったことが違法とされたんですね。「送ったことが違法」なんですよ。
「不登校の問題が理解されない時代」と多田さんはおっしゃっていますが、この時代、「学校に行きたくない」という子どもの意志は尊重されていなかったんです。
子どもが行きたくなくても親は子どもを学校に行かせなければならない
このように「教育を受けさせる義務」が解釈されていたのではないでしょうか。
その後、というかまさにこの頃、「子どもの権利条約」というのが日本でも発行されました。国連で採択されたのは1989年です。
あまり大きなニュースにはなりませんが、日本が「子どもの意見を尊重していない。発言権を認めていない」と国連から勧告を受けているのは今現在の話です。
ですから、「教育を受けさせる義務」という親の義務は、「子どもの教育を受ける権利を行使する義務」なのです。ですから、「学校に行きたくない」という子どもを学校に行かせるのは逆に義務違反になりはしませんか?
さて、実際に今後私が学校関係者と話を進めるのに際しては、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」という、去年(2016年)の12月に施行されたばかりの法律を用いたいと思います。
最近、出席督促書を無視し続けて書類送検されてしまった親がいるというニュースが流れましたが、さすがに無視はまずいですね。
この法律はネットで探せば閲覧できますので、興味がある方はぜひ。
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に対する附帯決議」という衆議院のホームページの記事にこんなことが書いてあります。
本法に定める不登校児童生徒に対する支援に当たっては、全ての児童生徒に教育を受ける権利を保障する憲法のほか、教育基本法及び生存の確保を定める児童の権利に関する条約等の趣旨にのっとって、不登校の児童生徒やその保護者を追い詰めることのないよう配慮するとともに、児童生徒の意思を十分に尊重して支援が行われるよう配慮すること。
「不登校の児童生徒やその保護者を追い詰めることのないよう配慮」という一文は、ぜひ関係者の方々に知っておいてほしいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。